幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

『バリの精華~スカワティのグンデル・ワヤン』

『バリの精華~スカワティのグンデル・ワヤン』
Gender Wayang of Sukawati Village
ワールド・ミュージック・ライブラリー 56


CD: キングレコード株式会社
KICC 5156 (1992年)
定価2,500円(税抜価格2,427円)

 

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1.スカル・スンサン Sekar Sungsang 6:14
2.スレンドロ Sulendro 6:48
3.スクティ Seketi 7:23
4.チャンディ・ルバー Candi Rebah 9:59
5.プンムカー Pengmukah 18:00
 1) カヨナン Kayonan
 2) トゥラン・ロンドゥン Tulang Lindung
 3) ガンバン Gambang
 4) ブラユット Brayut
6.タブ・ガリ Tabuh Gari 7:36


演奏: 
イ・ワヤン・ロチェン、イ・ワヤン・サルゴ
I Wayan Loceng, I Wayan Sarga
イ・クトゥット・バリッ、イ・クトゥット・スカヤナ
I Ketut Balik, I Ketut Sukayana

録音: 1990年12月3日、サヤン・ギアニャール
Recorded: 3 December 1990 at Sayan Gianyar


Producer: Hoshikawa Kyoji
Engineer: Takanami Hatsuro
Assistant engineer: Naruoka Akira (SCI)
Photographer: Furuya Hitoshi
Special arrangement: Minagawa Koichi
Cover Design: 美登英利
Cover Photo: バリ 神像(富浦隆則撮影/国立民族学博物館蔵)


帯文:

「バリ・ガムラン音楽の頂点というグンデル・ワヤン。だれもがその最高峰と認めるスカワティのグンデルの秘技をそのまま収録!」


帯裏:

「バリ人の精神世界の深層部に根ざし、彼ら自身がガムランの頂点というグンデル・ワヤン。だれもがその最高峰と認めるスカワティのグンデルの秘技。バリ最高の鍵盤の巨匠による異世界への誘い。
(’90年11~12月現地録音)」


◆本CD解説(皆川厚一)より◆

「グンデル・ワヤンは影絵人形芝居ワヤン・クリットの伴奏ガムランである。ワヤン・クリットはバリの人々の生活のなかで単なる娯楽としての芸能である以上に、あらゆる冠婚葬祭に関わる儀式の一部としての機能も果たしている。(中略)バリ人はその人生の重要な節目に於いて必ずワヤンの芝居に接し、グンデル・ワヤンの響きを耳にしている。またこのグンデル・ワヤンは影絵芝居から独立して音楽だけを儀式の伴奏に使うことも非常にしばしばある。」
「グンデル・ワヤンの音楽はそれぞれの村で独特のスタイルを持っている。バリ島中南部では、デンパサール地方ではカユマス村、タバナンではトゥンジュク村、そしてギアニャールではこのスカワティ村が最も傑出したスタイルを持っている。」
「スカワティのグンデル・ワヤンの特徴は非常に細かい複雑なリズムパターンを目にも止まらぬスピードで、しかも力強く演奏するという点にあるが、特に5曲目のプンムカーの一連の曲にそれが顕著に現れている。」


◆本CDについて&感想◆

ブックレットに日本語および英語解説、写真図版(モノクロ)2点、『バリ・華花の舞う島』(古屋均ほか著、平河出版社)広告、「ワールド・ミュージック・ライブラリー」CDリスト、地図2点。
本作は1999年に『バリ・ガムランの精華――スカワティのグンデル・ワヤン』、2008年に『バリ/スカワティのグンデル・ワヤン』として再リリースされています。

グンデル・ワヤンは「バリ人の心に真の安らぎをもたらす」「特に年寄りたちはこの音楽が好きだ」(本CD解説より)という記述から、演歌や古賀メロディのようなものを想像すると大まちがいで、人情的な湿っぽさからは程遠い、コンピューターミュージックのような、あるいはオルゴールのようなといってもよいですが、メカニカルで風通しのよい音楽です。こういうすずしげな音楽を好みながら、観光客相手にはおどろおどろしいケチャやバロンダンスを演じてみせるバリ島人はたいへん懐が深いです。

★★★★★

 

Pengmukah

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