幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

アーント・サリー 『アーント・サリー』

アーント・サリー
アーント・サリー
Aunt Sally


CD: UNDO RECORDS 
UNDO-001 (2002年) 
¥2,500(税抜価格) 

 

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帯文: 

「幻のファースト・アルバム遂にCD化! 
ボーナス・トラックあり!」


Aunt Sally

Aunt Sally (phew/bikke)
かがみ (phew/P.D)
醒めた火事場で (phew/bikke)
日が朽ちて (phew)
すべて売り物 (phew/bikke)
Essay (phew/bikke)
i was chosen (phew/bikke)
転機 (phew/bikke)
フランクに (phew/bikke)
夢遊の少年 (phew)
ローレライ (phew/P.D)


(ボーナストラック)

Aunt Sally (phew/bikke)
cool cold (phew/aunt sally)
ローレライ (phew/P.D)

1979年3月18日@心斎橋バハマ 


AUNT SALLY:
phew vocals
bikke guitar, vocals
mayu keyboards
y-nakaoka bass
t-maruyama drums

recorded and mixed at sounds creation, OSAKA, February, March 1979
engineerd by naoki oku
assistant engineered by yoshiteru mimura
cover art and photo by masayoshi sukita
produced by yuzuru agi

re-issue staffs:
re-mastered by tetsuya kotani at OMEGA SOUND, January, 2002
art direction by takashi miyagawa
produced by undo records


◆本CDについて◆ 

ブックレット(全12頁)に戸川純による「解説」と歌詞(ボーナストラックを除く)。ステッカー封入。

ヴェルヴェット・アンダーグラウンドルー・リード)、ニューヨーク・ドールズセックス・ピストルズに促されるようにしてパンクの世界に飛び込んだフューのバンド「アーント・サリー」は、同時期のレインコーツやスリッツ、フライング・リザーズ、ザ・ポップ・グループ、アクサク・マブール、エトロン・フー、ヤング・マーブル・ジャイアンツなどと比べても粗削りで、素材をそのまま投げ出した感じではあるものの、たとえばフューの詞にビッケが曲を付けた嚆矢であるというワルツ「i was chosen」などは、ノスタルジアとそれを断ち切る決意のアンビヴァレンス(選ばれてあることの恍惚と不安)を感じさせて、たいへんよいです。アーント・サリーのスタジオ盤には、Passからのシングル、1stアルバムを通り越して2nd「View」に直結するような歌ものの世界があって、ライヴ盤『Live 1978-1979』での演奏がパンクバンドMOSTに直結するのと相まって、この短命だったバンドがその後に結実することになる大きな可能性を抱えたものであったことがわかって興味深いです。

「Aunt Sally」が「マルセリーノの歌」(映画『汚れなき悪戯』)に基づいていることは戸川純さんの解説でも指摘されていますが、作曲者が「P.D」と表記されている「かがみ」はホーギー・カーマイケル作曲「ハート・アンド・ソウル」の替え歌、「ローレライ」の後半ではフランス民謡「フレール・ジャック」の英語版「アー・ユー・スリーピング」が歌われています。眠る「ブラザー・ジョン」への呼び掛けの歌を歌うフューに呼び掛けるbikkeさんの声が印象的です。
「もっと眠っていたかったのに、目が覚めてしまいました。もう一度眠ろうとしたけれども眠れませんでした。」
Phew「Midnight Awakening」『Vertigo KO』2020年 より)。

★★★★☆  

 

 

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