『クルト・ワイル: 三文オペラ』
RIASベルリン・シンフォニエッタ
指揮: ジョン・モーセリ
Kurt Weill: Die Dreigroschenoper
Lemper/Kollo/Milva/Adorf/Dernesch/Mauceri
CD: LONDON
発売: ポリドール株式会社
POCL-1020 (1990年)
税込定価¥2,800(税抜価格¥2,718)
クルト・ワイル: 三文オペラ
Kurt Weill (1900-1950)
Die Dreigroschenoper
ジョン・ゲイの「乞食オペラ」による音楽劇
エリーザベト・ハウプトマン訳
ベルトルト・ブレヒト改作および作詞
Ein Stück mit Musik nach John Gays "Bettleroper"
Übersetzt von Elisabeth hauptmann
Bearbeitung und Gesangtexte von Bertolt Brecht (1898-1956)
●プロローグ
Vorspiel
1.序曲 2:31
Overture
2.メキ・メッサーの殺人物語大道歌(モリタート)(口上役)
Die Moritat von Mackie Messer (Ausrufer)
●第1幕
Erster Akt
3.ピーチャムの朝の聖歌(コラール)(ピーチャム、ピーチャム夫人) 1:18
Der Morgenchoral des Peachum (Peachum, Frau Peachum)
4.代わりにのソング(ピーチャム、ピーチャム夫人) 2:00
Der Anstatt-daß-Song (Peachum, Frau Peachum)
5.婚礼の歌(4人のギャング) 1:25
Hochzeitslied (Vier Gangster)
6.海賊ジェニー(ポリー) 3:34
Seeräuber-Jenny (Polly)
7.大砲ソング(メッキース、ブラウン) 2:44
Kanonen-Song (Macheath, Brown)
8.愛の歌(メッキース、ポリー) 1:56
Liebeslied (Macheath, Polly)
9.バルバラ・ソング(ポリー) 5:06
Barbara-Song (Polly)
10.対話(ピーチャム、ピーチャム夫人、ポリー) 0:26
Dialog (Peachum, Frau Peachum, Polly)
11.第1の三文フィナーレ(ピーチャム、ピーチャム夫人、ポリー)
Erstes Dreigroschen-Finale (Polly, Peachum, Frau Peachum)
●第2幕
Zweiter Akt
12.メロドラム(ポリー、メッキース) 1:24
Melodram (Polly, Macheath)
13.ポリーの歌(ポリー) 1:33
Pollys Lied (Polly)
14.セックスのとりこのバラード(ピーチャム夫人) 2:57
Ballade von der sexuellen Hörigkeit (Frau Peachum)
15.ひものバラード(メッキース、ジェニー) 5:11
Zuhalter-Ballade (Macheath, Jenny)
16.挿入部: 海賊ジェニー(ジェニー) 3:27
Insert: Seeräuber-Jenny (Jenny)
17.快適な生活のバラード(メッキース) 2:51
Ballade vom angenehmen Leben (Macheath)
18.嫉妬のデュエット(ルーシー、ポリー) 2:52
Eifersuchts-Duett (Lucy, Polly)
19.ルーシーのアリア(ルーシー) 2:46
Aria der Lucy (Lucy)
20.対話(口上役、ピーチャム) 0:53
Dialog (Ausrufer, Peachum)
21.第2の三文フィナーレ(メッキース、ピーチャム夫人) 4:15
Zweites Dreigroschen-Finale (Macheath, Frau Peachum)
●第3幕
Dritter Akt
22.人間の努力の至らなさの歌(ピーチャム) 2:20
Lied von der Unzuläglichkeit menschlichen Strebens (Peachum)
23.ソロモン・ソング(ジェニー)
Salomon-Song (Jenny)
24.墓穴からの叫び(メッキース) 1:04
Ruf aus der Gruft (Macheath)
25.墓碑銘(メッキース) 3:57
Grabschrift (Macheath)
26.絞首台への道 1:05
Gang zum Galgen
27.第3の三文フィナーレ(アンサンブル) 5:50
Drittes Dreigroschen-Finale (Ensemble)
メッキース(メキ・メッサー): ルネ・コロ
Macheath (Mackie Messer): René Kollo
ピーチャム: マリオ・アドルフ
Peachum: Mario Adorf
ピーチャム夫人: ヘルガ・デルネシュ
Frau Peachum: Helga Dernesch
ポリー: ウテ・レンパー
Polly: Ute Lemper
ジェニー: ミルバ
Jenny: Milva
ブラウン:ヴォルフガンク・ライヒマン
Brown: Wolfgang Reichmann
ルーシー: シュザンヌ・トレンパー
Lucy: Susanne Tremper
口上役: ロルフ・ボイゼン
Ein Ausrufer: Rolf Boysen
RIAS放送合唱団
(コーラス指揮: マルクス・クリート)
RIAS Kammerchor
(Einstudierung: Marcus Creed)
RIASベルリン・シンフォニエッタ
指揮: ジョン・モーセリ
RIAS Berlin Sinfonietta
Karl-Bernhard Sebon (Flute/Piccolo)
Peter Heubeck (1st Clarinet)
Joachim Walz (2nd Clarinet/Bass Clarinet)
Detlev Bensmann (Alto & Baritone Saxophon)
Christof Griese (Tenor & Soprano Saxophon)
Peter Utrecht (Bassoon)
Joachim Plickett (1st Trumpet)
Heinz Radzischewski (2nd Trumpet)
Joachim Elser (Trombone)
Klaus Böttcher (Timpani, Percussion)
Mathias Donderer (Cello)
Peter Kühn (Double Bass)
Wilfried Grünberg (Banjo/Guitar)
Bernd Machus (Bandoneon)
Philip Moll (Piano/Celesta)
Jonathan Alder (Harmonium)
Manfred Wehner/Thomas Lutz (Percussion)
Dirigent: John Mauceri
Recording
Producer: Michael Haas
Engineer: Stanley Goodall
RIAS Engineers: Hansjorg Saladin, Andreas Narr
Editors: Neil Hutchinson, Jenni Whiteside
Location: Studio 7, RIAS, Berlin
Date: November 1988
◆本CD解説(歌崎和彦)より◆
「Ⅰ: ステレオ最初期の1955年のF.C.アドラー指揮によるウィーン国立歌劇場盤(ヴァンガード)。
Ⅱ: 1954年3月10日から2707回のロング・ランを記録して、アメリカにおけるヴァイル・リヴァイヴァルのきっかけになったグリニッジ・ヴィレッジのシアター・デ・リスにおける公演のオリジナル・キャスト盤(英語版。MGM)。
Ⅲ: 1958年にロッテ・レーニャの監修でベルリンで録音されたブリュックナー=リュッゲベルク盤(CBS)。
Ⅳ: ジェームズ・ラスト盤(ポリドール)。
Ⅴ: 1976年のニューヨークのシェークスピア・フェスティヴァルにおける公演のオリジナル・キャスト盤(英語版。CBS)。
Ⅵ: 有名な演出家の弟であるヴォルフガング・レンネルト指揮のフランクフルト歌劇場盤(フィリップス)。
以上がこれまでに録音された《三文オペラ》の主な全曲盤で、(中略)それぞれ特徴と魅力は持っているが、結局、Ⅲのブリュックナー=リュッゲベルク盤を越える《三文オペラ》はなかったといっても過言ではないだろう。」
「それだけに、ワイル・ソングの新しいスターとして売り出し中のウテ・レンパーに、すでに20年以上にわたってワイル歌手としても高い評価を得ているミルバ、さらにルネ・コロ、ヘルガ・デルネシュという二人のオペラ界の大スターを起用したこの《三文オペラ》の録音ニュースを知った時の喜びと期待は大きかった。」
「台詞は他の《三文オペラ》全曲盤と同様にほとんど省略しているが、触れ役の語りだけでドラマを進めているⅢに対して、時には台詞の一部を生かした構成もなかなかよくできているし、初演では省略されたピーチャム夫人の〈セックスのとりこのバラード〉や〈ルーシーのアリア〉も収めて、最も完備した全曲盤になっている。」
「ポリーのウテ・レンパーは、これまでのレコードのように純情で可憐な面だけを前に出すのではなく、ちょっとおきゃんでカマトト風なところが面白い。ポリーは確かに箱入り娘として育てられたが、そこはやはりロンドンのソーホー育ちの乞食の親分の娘なのである。一癖も二癖もある他の登場人物の中で、ともすれば綺麗ごとで終ってしまうこの役に、ひとひねりした新鮮な魅力を加えているというべきだろう。そして、そうしたレンパーのポリーに対して、娼婦ジェニーのミルバがまさに正攻法の歌で、マッキースをめぐる新旧二人の女の性格をとてもみごとに際立たせている。(中略)しかも、本来はポリーの歌である〈海賊ジェニー〉の歌を歌っているのも、ファンにとっては嬉しいサーヴィスである。Ⅲでは、この歌を第1幕で省略し、代わりにレーニャがやはり第2幕で歌っていたが、この録音ではその前例を取り入れるとともに、オリジナル通りにレンパーの歌も収めており、それによって二人の歌がいっそう鮮やかに対比されることにもなっている。」
◆本CDについて◆
デジパック仕様(ブックレット貼付)。ブックレット(58頁)にクレジット&トラックリスト、「《三文オペラ》と このディスクについて」(歌崎和彦)、「梗概と解説」(岩淵達治)、「アーティスト紹介」(無記名)、歌詞対訳(岩淵達治)、写真図版(モノクロ)15点。
「Ihr Herren, bildet euch nur da nichts ein,
Der Mensch lebt nur von Missetat allein.」
「皆さん、自惚れちゃいけませんぜ、
人間はただただ悪事を働くことによってのみ生きるのだ!」
ブレヒトといえば「異化効果」ですが、「人間はただただ悪事を働くことによってのみ生きる」というのも、我々の平穏な日常が他者の犠牲の上に成り立っていることを異化的に示しています。「モリタート(マック・ザ・ナイフ)」で強盗・殺人・放火などが遊園地的な明朗さで歌われているのも「異化効果」です。
★★★★☆
M
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