Herbie Mann & The Bill Evans Trio
『Nirvana』
CD: Atlantic / Rhino Records
Series: Atlantic Jazz Gallery
7567-90141-2 (1996)
Made in Germany
1. Nirvana (Herbie Mann)
2. Gymnopedie (Erik Satie)
3. I Love You (Cole Porter)
4. Willow Weep For Me (Ann Ronell)
5. Lover Man (Jimmy Davis/Roger "Ram" Ramirez/Jimmy Sherman)
6. Cashmere (Herbie Mann)
Herbie Mann: flute
Bill Evans: piano
Chuck Israels: bass
Paul Motian: drums
Recorded in New York City, December 8, 1961 & May 4, 1962
Produced by Nesuhi Ertegun
Recording Engineers: Tom Dowd & Phil Iehle
Original Cover Design: Marvin Israel
Remastering: Bill Inglot & Geoff Sykes
Reissue Art Direction: Rachel Gutek
Reissue Design: Nancy L. Hopkins
Photos: Michael Ochs Archives
◆本CDについて◆
6頁ブックレット(三つ折り)にトラックリスト&クレジット、写真図版(モノクロ)3点。オリジナルLPは1964年にアトランティックからリリースされました(Atlantic SD 1426)。
1961年7月に自動車事故で逝去したスコット・ラファロの後釜ベーシストとしてチャック・イスラエル(チャック・イズリールズ)を迎えたビル・エヴァンス・トリオが、ハービー・マン(フルート)と共演したアルバムで、エヴァンスは1969年にもうひとりのフルート奏者ジェレミー・スタイグとも共演していますが(『What's New』)、個人的にはハービー・マンとの本作に興味を惹かれます。理由はエリック・サティの「ジムノペディ」を演奏しているからで、今でこそサティは人気作曲家ですが、ルイ・マルが映画『鬼火』で「ジムノペディ」を使用する一年前にサティに注目していたセンスは刮目に価します。本作はエヴァンスの静謐さとマンのエスニックなセンスが融合して、駘蕩としてノスタルジックかつミスティックな雰囲気を醸し出しています。ハービー作の「Nirvana」もサティ風です。
ビル・エヴァンス本人はスタイグとの盤のライナーノーツで、自分もフルートをやっていたことがあるので分かるが、と前置きしつつ、フルーティストとしてのスタイグを絶賛しています。ということは、暗に、ハービー・マンはダメだといっているのかもしれないです。両者とも「Lover Man」を演奏しているので、聴き比べにはうってつけですが、スタイグの自在でテクニカルな演奏と比べてしまうと、マンの演奏はものたりないかもしれないです。音もスタイグとの盤のほうがよいです。しかしそれはそれとして、どっちを取るかと言われたら本作を選びたいです。
★★★★★