幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

ダンカン・ブラウン  『ギヴ・ミー・テイク・ユー [+2]』

ダンカン・ブラウン 
『ギヴ・ミー・テイク・ユー [+2]』 

Duncan Browne 
Give Me Take You 


CD:ビクター エンタテインメント株式会社 
シリーズ:Immediate Original Jacket Collection 
VICP-61245 (2001年) 
定価¥2,415(税抜価格¥2,300) 

「20bit K2 Mastering」 

 

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帯文: 

「後にメトロでの活動で決定的な評価を得るダンカン・ブラウンの記念すべきデビュー・アルバム。
すでに彼独特の繊細な世界が展開されているファンならずとも必聴の好盤。」 


1.ギヴ・ミー・テイク・ユー 3:17 
Give Me Take You (D. Browne - D. Bretton) 
2.ナインペンス・ワース・オブ・ウォーキング 3:40 
Ninepence Worth of Walking (D. Browne - D. Bretton) 
3.ドゥワーフ・イン・ア・トゥリー 3:40 
Dwarf in a Tree (A Cautionary Tale) (D. Browne - D. Bretton) 
4.ゴースト・ウォークス 5:39 
The Ghost Walks (D. Browne - D. Bretton) 
5.ウェイキング・ユー〔パート1〕 1:50 
Waking You [Part One] (D. Browne - D. Bretton) 
6.クロエ・イン・ザ・ガーデン 5:14 
Chloe in the Garden (D. Browne - D. Bretton) 
7.ウェイキング・ユー〔パート2〕 0:58 
Waking You [Part Two] (D. Browne - D. Bretton) 
8.オン・ザ・ボムサイト 2:44 
On the Bombsite (D. Browne - D. Bretton) 
9.アイ・ワズ、ユー・ワーント 2:21 
I Was, You Weren't (D. Browne - D. Bretton) 
10.ギャビラン 4:04 
Gabilan (D. Browne - D. Bretton) 
11.アルフレッド・ベル 4:36 
Alfred Bell (D. Browne - D. Bretton) 
12.デス・オブ・ニール 4:33 
The Death of Neil (D. Browne - D. Bretton) 

13.オン・ザ・ボムサイト〔モノ・シングル・ヴァージョン〕 2:46 
On the Bombsite [Mono Single Version] (D. Browne - D. Bretton) 
14.アルフレッド・ベル〔モノ・シングル・ヴァージョン〕 4:35 
Alfred Bell [Mono Single Version] (D. Browne - D. Bretton) 

13、14: ボーナス・トラック 


Produced by Andrew Loog Oldham. 
Music composed and arranged by Duncan Browne. 
Words by David Bretton. 
Engineer - Irish. 
Cover design by Derek Burton, David Bretton and Duncan Browne. 
Front cover photo - Max Edwards. 
Rear cover photo - Gered Mankowitz. 
Vocals, guitar - Duncan Browne. 


◆本CD歌詞(対訳:中島英述)より◆ 

「ギヴ・ミー・テイク・ユー」より: 

「I give you me and you take. 
I offer real and you give me fake:」
「僕は君に僕自身を与え、そして君はそれを受け取る 
僕は君に事実を差し出し、君は僕に偽りを与える」

「デス・オブ・ニール」より: 

「To have a private world alone 
Where no one else could be, 
Entered through a secret door 
And he would have the key.」 
「ひとりになれる自分だけの世界 
そこでは他の誰も生きてはいけない 
そんな世界を手に入れるために 
彼は秘密のドアをくぐり抜けた 
そして彼は鍵を手に入れたのだ」 
「They thought that Neil was off his head 
And laughed so he could hear, 
But Neil could smile at what they said, 
His arete was near.」
「みんなは考えた、ニールは頭がおかしくなってしまったと 
そして彼に聞こえるように声高に笑った 
しかしニールは彼らの言葉に微笑んだ 
彼のアレート(引用者注:アレテー arete 究極の目的)はすぐそばだった」

 

◆本CD解説(大鷹俊一)より◆ 

「ダンカン・ブラウンは1947年3月25日イギリス空軍の軍人だった父親のもとに生まれている。幼い頃から音楽を学んでいた彼はクラシック・ギタリストとなるべくロンドン・アカデミー・オブ・ミュージック・アンド・ドラマ・アートで3年間にわたって学んでいる。(中略)彼は自作曲のデモをあちこちに送るようになる。それに反応したのがイミディエイトであった。
 レーベル創始者のアンドリュー・ルーグ・オールダム自らがプロデュースにあたり、ダンカン自身のアレンジで作りだしたのが本作『Give Me Take You』(IMSP018 ’68/7)である。」
「しかし(中略)、ロクにプロモーションもされないうちにレーベルがつぶれてしまうのだった。行き場を失ったダンカンは70年にベル・レコードからセカンド・シングル「Resurrection Joe / Final Asylum」(Bell BLL 1119)を発表しているが不発に終わっている。
 次にダンカンにチャンスを与えたのは、(中略)大物プロデューサー、ミッキー・モストで、彼の設立したRAKレコードからセカンド・アルバム『Duncan Browne』(’73)を発表する。そしてレーベル・メイトのスージー・クアトロやアージェントのメンバー、さらにキーボーディストのラビットらがバッキングに参加したアルバムにも収められていたシングルの「Journey」は全英チャートにランクインするヒットとなったのである。」
「さらに認知度を上げることになったのがピーター・ゴドウィンと組んで結成したメトロによってだった。(中略)デュオは(中略)『Metro』(’76)でデビューを飾る。のちにデヴイッド・ボウイが『Let's Dance』でカヴァーした名曲「Criminal World」などが収められているのもこのアルバムなのだが、当時は残念ながら期待されたほどの成功は収めなかった。」
「しかしメトロは長続きせずダンカンは再びソロに戻り『The Wild Places』(’78)、『Streets Of Fire』(’79)をサイアー系列のロゴ・レーベルからリリースする。」
「その後80年代のダンカンはテレビ番組や舞台の音楽の仕事が中心となっていき、グラナダ・テレビのシリーズだった音をまとめた『Travelling Man』(’84)を、ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレイターのニック・ポッターのレーベルからリリースしている。」
「しかし90年代に入って彼は癌を宣告され闘病生活を余儀なくされる。(中略)最後の力をふりしぼって完成させた作品が『Songs Of Love & War』(’95)であった。」


◆本CDについて◆ 

紙ジャケット(A式、シングル)仕様。LPインサート(歌詞)復刻。ブックレット(全12頁)にトラックリスト&クレジット、解説(大鷹俊一)、歌詞日本語訳(中島英述)、「IMMEDIATE Original Jacket Collection」(CDリスト、モノクロ図版5点)。

つぶやくようなヴォーカルにクラシックギターオーボエハープシコード、女声スキャット、効果音など、閑雅な音作りがなされています。
作詩を担当しているデイヴィッド・ブレットンはダンカン・ブラウンの学校の友人だということですが、落ちぶれた老シェイクスピア俳優の死を描く「ゴースト・ウォークス」や、蝶のコレクションだけが生きがいの初老の教師の孤独な日常を点綴する「アルフレッド・ベル」、イカロスのように崖から飛んで自由を手に入れる「デス・オブ・ニール」など、味わい深いです。

★★★★★ 


The Ghost Walks


Chloe in the Garden


Alfred Bell