『幻のギタリスト/ジャンゴ・ラインハルト&ステファン・グラッペリ』
Django Reinhardt & Stephane Grappelly with The Quintet of the Hot Club of France
CD: Ace of Clubs / Decca
発売:ポリドール株式会社
ロンドン・ジャズCD名盤シリーズ
P33L 20038
¥3,300
Made in Japan
モノラル
帯文:
「30年代から40年代にかけて、あらゆる分野の芸術家たちから絶賛された
異才ジャンゴの絶頂期を飾る名演の数々!!
歴史的録音」
Django Reinhardt & Stephane Grappelly
with
The Quintet of the Hot Club of France
1. HONEYSUCKLE ROSE (Waller; Razaf) (D) [2:55]
ハニーサックル・ローズ
2. NIGHT AND DAY (Cole Porter ) (D) [2:44]
夜も昼も
3. SWEET GEORGIA BROWN (Bernie; Pinkard; Casey) (D) [3:08]
スイート・ジョージア・ブラウン
4. SOUVENIRS (Reinhardt; Grappelly) (D) [2:47]
スーヴェニール
5. MY SWEET (Reinhardt; Grappelly) (D) [2:56]
マイ・スイート
6. LIZA (G. & I. Gershwin; Kahn) (A) [2:54]
ライザ
7. STOMPING AT DECCA (Reinhardt; Grappelly) (D) [2:34]
デッカでストンプ
8. LOVE'S MELODY (Reinhardt) (A) [3:11]
ラヴズ・メロディー
9. DAPHNE (Reinhardt; Grappelly) (D) [3:12]
ダフネ
10. LAMBETH WALK (Gay; Furber) (C) [2:48]
ランベス・ウォーク
11. NUAGES (Reinhardt) (A) [3:04]
雲
12. H.C.Q. STRUT (Reinhardt; Grappelly) (B) [2:59]
H.C.Q. ストラット
Parisian Swing
DJANGO REINHARDT
STEPHANE GRAPPELLY
with The Quintet of the Hot Club of France
COMPILED BY RAYMOND WARE
13. CHASING SHADOWS (Davis; Silver) (F) [3:01]
チェイシング・シャドウズ
14. THE MAN I LOVE (G. & I. Gershwin) (L) [3:15]
私の彼氏
15. ULTRAFOX (Reinhardt; Grappelly) (E) [3:21]
ウルトラフォックス
16. IMPROVISATION (Reinhardt) (I) [2:43]
インプロヴィゼイション
17. UNDECIDED (Shavers; Robin) (J) [2:34]
アンディサイデッド
18. PLEASE BE KIND (Cahn; Chaplin; Jamblan; Herpin) (H) [2:49]
プリーズ・ビー・カインド
19. DJANGOLOGY (Reinhardt; Grappelly) (F) [2:58]
ジャンゴロジー
20. NOCTURNE (Reinhardt; Grappelly) (G) [3:16]
ノクターン
21. I'VE GOT MY LOVE TO KEEP ME WARM (Irving Berlin) (H) [2:33]
恋に寒さをわすれ
22. LOUISE (Robin; Whiting) (H) [2:39]
ルイーズ
23. DON'T WORRY 'BOUT ME (Bloom; Koehler) (K) [3:01]
ほっといて
24. I'VE HAD MY MOMENTS (Kahn; Donaldson) (F) [3:00]
アイヴ・ハッド・マイ・モメンツ
DATES AND PERSONNEL:
(A) Recorded London, February 1st 1946.
Stephane Grappelly (violin), Django Reinhardt, Jack Llewellyn and Alan Hodgkiss (guitars); Coleridge Goode (bass).
(B) Recorded London, August 25th 1939.
Stephane Grappelly (violin), Django Reinhardt, Joseph Reinhardt and Eugène Vées (guitars); Emmannuel Soudieux (bass).
(C) Recorded London, August 30th, 1938.
As for B, except that Roger Grasset substituted for Emmannuel Soudieux on bass.
(D) Recorded London, January 31st 1938.
Stephane Grappelly (violin): Django Reinhardt, Roger Chaput and Eugène Vées (guitars); Louis Vola (bass).
(E) April '35 (Paris) Django (solo guitar) Stephane (violin) with Rager Chaput, Joseph Reinhardt (guitars) and Louis Vola (bass).
(F) 6th Sept. '35 (Paris) as for (E) but Pierre Ferret replaces Chaput on guitar.
(G) 1st Feb. '38 (London) Django (solo guitar) Stepahne (violin).
(H) 1st Sept. '38 (London) Django (solo guitar) Stephane (piano).
(I) 1st Sept. '38 (London) Django (solo guitar).
(J) 25th Aug, '39 (London) Django (solo guitar) Stephane (violin), with Eugène Vées, Joseph Reinhardt (guitars) Emmannuel Soudieux (bass) and Beryl Davis (vocal).
(K) as for (J), but with Stephane on piano.
(L) as for (K), but without vocalist.
◆ケン・サイコラによる解説より◆
「1910年の1月23日、ベルギーのリベルシー村の郊外の野原にキャンプを張っていた遊牧ジプシーの一家に男の子が誕生した。この男の子、ジャン・ラインハルトは、42年後に亡くなるまでに、あらゆる世代のさまざまな好みを持つミュージシャンと音楽愛好家に愛され、尊敬された最も偉大なジャズ・ギタリスト、『ジャンゴ』として世界中に名を馳せた。」
「ジャンゴの母親はジプシーの世界では歌手とサンダーとして有名で、ラインハルトの少年時代は、一家のキャラヴァンでヨーロッパのあちこちを旅して歩く日々だった。12才になる頃には、彼は伝統的なジプシーの楽器であるヴァイオリンの他に、バンジョーとギターを弾き始めていた。」
「しかし18才の時、彼はキャラヴァンの火事を消そうとして、左手にひどい火傷を負った。(中略)1年後には2本の指が動かないという障害を克服し、(中略)目をみはるようなテクニックを発展させて、独特のギター奏法を編み出した。」
「彼は多額の収入を得ることもあったが、ほとんど無収入の時もあった。どちらにせよそれは大した問題ではなかった。ジャンゴが手にしたお金はいとも簡単になくなってしまった。彼はお金を人にあげたり、賭けたりして使ってしまうのだった。(中略)バックのミュージッシャンとギャラの数フランのことで言い争った後で、その夜のビリヤードで同じ人にその10倍もの額を負けたりした。
ジャンゴは、豪勢なリムジンを雇って流行の洋服に身を包み、気取りすまして現れることがあると思えば、次の日には古ぼけた、乞食のような格好で出てくるような男だった。彼は常に感じるままに振舞い、先のことを煩うことなくその日その日を生きていた。(中略)ジャンゴはすらすらと読むことも書くこともできず、自分の名前が書けるようになったのも、30才になる少し前のことだった。それでも彼の仲の良い友人やファンの中には、ピカソやジャン・コクトーなど、フランスきっての詩人、小説家、画家等の知識人がいた。
しかしこれは、この不可思議な人物の1つの側面にしか過ぎない。
彼こそはジプシーの伝承、ジプシーのしきたり、ジプシーの迷信、ジプシーの音楽が深くしみ込んだヨーロッパのジプシーであり、アメリカの黒人ジャズマンすら、単にすばらしいジャズ・ミュージッシャンだというだけでなく、彼ら自身の生み出した音楽を革新した、独創性のある偉才と認めた男なのである。」
「彼が最初に世界に名を馳せたのは、「クインテット・オブ・ホット・クラブ・オブ・フランス」と名付けられたストリングス・クインテットを、1934年にパリで偶然結成したことからだった。彼のパートナーは長い間ヴァイオリニストのステファン・グラッペリであり、リズム・セクションは2本のリズム・ギターとストリング・ベースで構成されていた。」
「最も輝かしい初期の頃のホット・クラブ・クインテットを収めたこのアルバムは、戦前のデッカのシングルをまとめて復刻したものである。」
「「雲」はジャンゴの曲の中で最も有名なものだ。この曲は「ブルーエスト・カインド・オブ・ブルーズ」の名で、(中略)既にフランスとイギリスのヒット・パレードの1位になっていた。ジャンゴはこの曲を、これ以前に2回パリで録音していたし、この後も計6回吹き込むことになる。このロンドン・セッションから作られた最初の78回転レコードには、ヴァースの入っている「雲」が初めて収められた。しかし、今回のアルバムに使われたのは、これまで未発表の別の(ヴァースのない)テイクである。」
◆本CDについて◆
英デッカ傘下の廉価盤レーベルAce of Clubsの「Treasury Series」からリリースされた2枚のコンピレーションLP『Django Reinhardt & Stephane Grappelly with The Quintet of the Hot Club of France』(ACL 1158/1964年)と『Parisian Swing』(ACL 1189/1965年)をカップリングCD化したものですが、ACL 1158収録の2曲「Black and White」「Belleville」がオミットされています。
ブックレット(全16頁)にトラックリスト&クレジット、ケン・サイコラによる『Django Reinhardt & Stephane Grappelly with The Quintet of the Hot Club of France』解説邦訳(「この解説はLPライナーを直訳したものですがCD用に修正してあります」)&『Parisian Swing』解説邦訳(「この解説はレコードの解説書から転載しました。」)。ブックレット表紙はACL 1158のジャケット、裏表紙はACL 1189のジャケット画像が再現されていますが、ACL 1158のジャケットに列挙されている曲名のうち「Belleville」が削除されています。
1935年パリ録音の2曲と、1938年、39年、1946年ロンドン録音の22曲(#16はギター独奏、#20はジャンゴ&ステファンのデュオ、#18、21、22はジャンゴ&ステファン(ピアノ)、#17、23はイギリス人ヴォーカリストのベリル・デイヴィスをフィーチャー)を収録しています。
★★★★★
Chasing Shadows
Nuages
Improvisation