『Janequin: La Chasse et autres chansons』
Ensemble Clément Janequin
CD: harmonia mundi france
HMC 901271 (1988)
Made in W. Germany
CLÉMENT JANEQUIN (v. 1485-1558)
La Chasse et autres chansons
1. Le caquet des femmes 7:11
2. Va rossignol 2:18
3. D'un seul soleil 2:52
4. Bel aubépin verdissant 1:54
5. GUILLAUME MORLAYE: Gaillarde des Dieux (luth) 1:35
6. J'ay double dueil 2:27
7. Au verd bois je m'en iray 1:56
8. Revenés souvent m'amye 1:14
9. J'ay d'un coste l'honneur 2:36
10. Ce petit dieu qui vole 2:22
11. ADRIAN LE ROY: Branle de Bourgogne (luth) 1:06
12. La Guerre [prima pars / secunda pars] 6:34
13. L'espoir confus 2:45
14. Petite nymphe folastre 0:56
15. Pourquoy tournez-vous vos yeux 2:01
16. C'est a bon droit 1:19
17. GUILLAUME MORLAYE: Fantaisie (luth) 3:00
18. Sur l'aubépin qui est en fleurs 2:28
19.Ce moys de may 0:49
20. Las, si tu as plaisir 2:29
21. Ventz hardis et légiers 1:40
22. ADRIAN LE ROY: Branle Gay (luth) 0:48
23. Plus ne suys 2:04
24. Frère Thibault 1:29
25. La Chasse [prima pars / secunda pars] 7:10
ENSEMBLE CLÉMENT JANEQUIN
Agnès Mellon, soprano
Dominique Visse, haute-contre
Bruno Boterf, tenor
Philippe Cantor, baryton
Josep Cabré, baryton
Antoine Sicot, basse
Claude Debôves, luth
Enregistrement août 1987 à l'Église Saint-Martin du Méjan, Arles
Prise de son Jean-François Pontefract
Direction artistique Michel Bernard (Radio France)
Illustration: Pieter Bruegel, Les chasseurs dans la neige (détail), Kunsthist. Museum, Vienne
Maquette Relations, Arles - Imprimé en R.F.A.
◆本CDについて◆
ブックレット(全28頁)にJean-Pierre Ouvrardによる解説(仏・英・独)と歌詞(仏語原文のみ)、クレジット。インレイにトラックリスト&クレジット。
ドミニク・ヴィス率いるアンサンブル・クレマン・ジャヌカンによる『狩りの歌/ジャヌカン・シャンソン集』。収録曲は「女のおしゃべり」、「行け、夜鳴きうぐいす」、「たったひとつの太陽から」、「美しく緑なすさんざしよ」、ギョーム・モレイユ作曲「神々のガイヤルド」(リュート独奏)、「ぼくには二重の苦しみが」、「緑の森に私は行くわ」、「すぐまた来なさい」、「こちらの側には名誉が」、「空を飛ぶこの小さな神様」、アドリアン・ル・ロワ作曲「ブルゴーニュのブランル」(リュート独奏)、「戦い」、「絶えた望み」、「かわいいニンフ」、「どうしてその目を」、「当然のこと」、モレイユ作曲「ファンタジー」(リュート独奏)、「花咲けるさんざしの上で」、「この五月」、「ああ、君は楽しいの」、「大胆で軽やかな風よ」、ル・ロワ作曲「ブランル・ゲ」(リュート独奏)、「もうぼくは以前のぼくでは」、「修道士チボー」、「狩りの歌」。
皆川達夫『西洋音楽史 中世・ルネサンス』(音楽之友社、1986年)より:
「十六世紀前半のフランス音楽は、徹底して世俗シャンソンを中心に展開していった。」
「その歌詞の内容は、新興フランス市民の生活感情を反映したものが多く、軽妙であり、粋であり、時には卑猥でさえある。」
「また一方ではクレマン・マロ Clément Marot (一四九六―一五四四)、ピエール・ド・ロンサール Pierre de Ronsard (一五二四―八五)、ジャン・アントアーヌ・ド・バイフ Jean Antoine de Baïf (一五三二―八九)らの格調高い詩も、多数作曲されていた。」
「十六世紀前半のフランス・シャンソンは、比較的ホモフォニックな傾向が強く、民謡ふうのフレーズの明確な、生気ある舞曲ふうのリズムによる旋律を中核に、四声曲の形で展開してゆくものが多い。」
「ポリフォニックな模倣も部分的には現われることがあるが、フランドル楽派のように模倣が自己目的をもって追求されることはなく、あくまでも楽曲展開の一手段にすぎない。」
「十六世紀前半のフランス・シャンソンの作曲家としてもっとも注目すべき存在は、クレマン・ジャヌカン Clement Janequin (Jannequin, Jennequin, Jannekin などとも綴る)(一四八五頃―一五五八)である。
その生涯については不明の部分が多いが、ポアティエ付近で生まれ、ボルドー、アンジェなどで教会音楽家として活躍、一五五五年にはアンリ二世 Henri II (一五四七―五九在位)によって王室礼拝堂楽長に任命されている。一五五八年以降その作品が出版されていないところから、一五五八年に世を去ったものと推定される。」
「彼の標題シャンソンはとくに有名である。鳥のさえずり、市場の雑踏、戦闘の場面などを、擬音効果を加えて模写的に扱った、かなり長大な作品であって、〈戦争 La Guerre〉(マリニャンの戦い La Battaille de Marignan)は、一五一五年九月フランス王フランソア一世がミラノ近郊マリニャーノ(マリニャン)でスイス傭兵団を中心とするミラノ公軍を破った勝利を歌っている。〈きけや、ガリアの国人、勝利の歌を、フランソア王のいさおしを。……打て、ひびけ、鉄砲、大砲、ふるいたて……〉の歌詞のとおり、戦いのラッパや太鼓、砲声などが擬音的に四声合唱で歌われてゆく。」
「こうしたタイプの標題曲は、すでに十四世紀のシャスやカッチァにはじまっており、とくにジャヌカンによって創始されたものではなく、またジャヌカンの擬音効果は同一の和音の上に細かい音符を反覆してゆくだけの単純なものが多いが、しかし独特のユーモアとエスプリとのゆえに注目すべき作品となっている。
同様に、もっと小規模な、歌謡ふうのシャンソンにも掬すべき味わいと魅力とがこめられている。」
★★★★☆
La Guerre
La Chasse