『シェーンベルク: オラトリオ「ヤコブのはしご」/ヴェーベルン: 協奏曲作品24/6つの小品作品6b』 エリアフ・インバル指揮/フランクフルト放送管弦楽団

シェーンベルク: オラトリオ「ヤコブのはしご」/ヴェーベルン: 協奏曲作品24/6つの小品作品6b』  
エリアフ・インバル指揮/フランクフルト放送管弦楽団 

Arnold Schönberg 
Die Jakobsleiter 
Anton Webern 
Konzert Op.24 / 6 Stücke Op.6b 

Soloists, Rundfunkchor Berlin & 
Radio-Sinfonie-Orchester Frankfurt 
Eliahu Inbal 


CD: DENON日本コロムビア株式会社 
COCO-78977 (1995年) 
¥3,000(税込)(税抜価格¥2,913) 

 

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帯文: 

「ドイツ音楽の極北。魂の祈り。巨匠インバルの新境地!!」


アーノルト・シェーンベルク(1874~1951) 
Arnold Shönberg 

オラトリオ『ヤコブのはしご』〔フラグメント〕(1917-1922) 
The Jakobsleiter: Oratorio (fragment) for Solil, Choruses & Orchestra 
オーケストレーション: ヴィンフリート・ツィリヒ 
Orchestration: Winfried Zillig 
テキスト: アーノルト・シェーンベルク 
Text: Arnold Schönberg 
1.「右に居ても、左に居ても、将来に目を向けていても」(ガブリエル、合唱) 4:35 
Ob rechts, ob links, vorwärts oder rückwärts (Gabriel, Chor) 
2.「問いかけもせずに?」(合唱、ガブリエル) 4:33 
Ohne zu fragen? (Chor, Gabriel) 
3.「その調子で!先へ!」(ガブリエル、使命を与えられた男) 3:42 
Gleichwiel! Weiter! (Gabriel, ein Berufener) 
4.「お前はいつでも自分に満足している」(ガブリエル、反抗する男) 1:47 
Du bist immerhin zufrieden mit dir (Gabriel, ein Aufrührerischer) 
5.「この二者択一」(ガブリエル、苦闘する男) 3:49 
Dies Entweder und dies Oder (Gabriel, ein Ringender) 
6.「彼と汝等の意志に対して」(ガブリエル) 1:47 
Gegen seinen und euren Willen (Gabriel) 
7.「私は近寄れない、何故なら、近寄る時に私は負けるからだ」(選ばれた男、ガブリエル) 4:48 
8.「主よ、私の不遜をお許し下さい!」(修道士、ガブリエル) 4:14 
Herr, verzeih meine Überhebung! (Der Mönch, Gabriel) 
9.「主よ、私は生涯この時間を待っていました」(瀕死の男) 3:28 
Herr, mein ganzes Leben lang (Der Sterbende) 
10.「お前が再び光に近づくのは」(ガブリエル、合唱) 3:25 
Nahst du wieder dem Licht? (Gabriel, Chor) 
11.大交響間奏曲(オーケストラ、合唱、魂) 7:23 
(Großes symphonisches Zwischenspiel) 


アントン・ヴェーベルン(1883~1945) 
Anton Webern 

9楽器のための協奏曲 作品24 (1934) 
Konzert, Op.24 for Flute, Oboe, Clarinet, Horn, Trumpet, Trombone, Violin, Viola & Piano 
12.I - Etwas lebhat (ややいきいきと) 2:46 
13. II - Sehr langsam (ひじょうに遅く) 2:57 
14. III - Sehr rasch (ひじょうに速く) 1:25 

オーケストラのための6つの小品 作品6b (1909、28改訂) 
15. I - Langsam (ゆっくりと) 1:11 
16. II - Bewegt (動揺して) 1:31 
17. III - Mäßig (中庸の速さで) 1:08 
18. IV - Sehr Mäßig (ごく普通の速さで) 4:15 
19. V - Sehr langsam (ひじょうにゆっくりと) 2:25 
10. VI - Langsam (ゆっくりと) 1:42 


ガブリエル: コルネリウス・ハウプトマン(バス) 
Gabriel: Cornelius Hauptmann 
苦闘する男: マッテオ・デ・モンティ(バス) 
Ringender: Matteo de Monti 
反抗する男: ヴィルフリート・ガームリヒ(テノール) 
Aufrührerischer: Wilfried Gahmlich 
修道士: クルト・アツェスベルガー(テノール) 
Mönch: Kurt Azesberger 
使命を与えられた男: キース・ルイス(テノール) 
Berfener: Keith Lewis 
瀕死の男(女声): ヤドヴィガ・ラペ(メゾ・ソプラノ) 
Sterbende: Jadwiga Rappé 
選ばれた男: ビョルン・ヴァーグ(バリトン) 
Auserwählter: Bjørn Waag 
魂1: バルバラ・キルドゥフ(ソプラノ) 
Seele 1: Barbara Kilduff 
魂2: バルバラ・フックス(ソプラノ) 
Seele 2: Barbara Fuchs 
ベルリン放送合唱団(合唱指揮: ロビン・グリットン) 
Rundfunkchor Berlin (Chorus master: Robin Gritton) 

エリアフ・インバル指揮 
Eliahu Inbal conducting 
フランクフルト放送管弦楽団 
Radio-Sinfonie-Orchester Frankfurt 

Co-production with Hessischer Rundfunk 

録音: 
1994年9月3-5日(ヴェーベルン作品24)、ヘッセン放送ゼンデザール 
1995年9月6-9日(ヤコブのはしご、ヴェーベルン作品6)、フランクフルト・アルテ・オパー
エンジニア: デトレフ・キトラー(ヴェーベルン作品24)、リュディガー・オート 
リミックス: 後藤博 
技術: ホルガー・ウアバッハ&井之口啓三 
制作担当: 川口義晴&ハンス=ベルンハルト・ベツィング 

Art Direction: Satoshi Saitoh
Design: Miharu Kawashima 


◆本CD解説(長木誠司)より◆ 

「オラトリオ《ヤコブのはしご》は、このユダヤ人の作曲家が書いた宗教的な系列の作品のひとつである。」
「『旧約聖書』の「創世記」第28章10節以降で、ヤコブの夢のなかに出てくる天と地を結ぶはしごとそこを昇降する神の使い、そして自らの傍らに降り立つ主のことばを耳にしたヤコブが、この土地を神の家、天の門として畏敬するくだりは印象的なものであるが、このヤコブが夢に見た、霊の昇降するはしごは、ユダヤ神秘主義のなかで祈祷の持つ独特の位置づけと関連し、数の神秘学において捉えられている。」
「当初、シェーンベルクバルザックの小説『セラフィタ』のなかに出てくるスウェーデンボリの教説に惹かれており、この小説をオラトリオ化、あるいは舞台作品化する意志があったようで、同年の終わりまでには、それをストリンドベリの自伝的断片である『ヤコブの苦闘』と結びつけようという考えを抱くようになった。」
「1912年12月に、シェーンベルクはデーメルに「オラトリオ」のテクストを書いてくれるかどうか打診している。」
「「私は長らくオラトリオを書こうと思っています。その内容は、物質主義や社会主義無政府主義に貫かれてきた現代の人間、無神論者であった人間、それでも古い信仰の名残を(迷信という形で)保持してきた現代の人間が、どのようにして神と争い(ストリンドベリの『ヤコブの苦闘』を参照のこと)、やがて終いには神を見出し、信仰へと到達するか、というものです。(中略)当初、私は自分でテクストを書こうとしました。しかし、今では自分の力を信じていません。次に私はストリンドベリの『ヤコブの苦闘』を翻案しようとしました。最後に私は、明確な信仰心から始めて、バルザックの『セラフィタ』、殊にその終章である「昇天」の部分を翻案しようと考えるに到りました。そこでは〈今日の人間の祈り〉という考えが私を捉えて放しませんでした。そしてしばしば、もしもデーメルが書いたら、という考えも持っていたのです。」
 こうした申し出に対し、しかしながら、デーメルは他人の拘束による創作の不自由を嫌って、(中略)シェーンベルクの創作を応援しただけであった。」
「さて、1915年のテクストの草案は、さらに手が加えられて1917年5月26日に完成稿ができあがる(中略)。全2部からなるそのテクストの第1部では、熾天使ガブリエルが、行く手や背後に何があるか問いかけることなく、常に先へ先へと進まねばならないという教説を述べたあと、「行為によって近づいた者たち」をひとりひとり召喚して、彼らの話に反駁を加えてゆく。順に「使命を与えられた男」「反抗する男」「苦闘する男」が登場するが、彼らを導く唯一の者として、ガブリエルは「選ばれた男」を呼び出して対比させている。ひとに理解されずとも未知のものへと邁進し、自らを「変奏曲」と呼ぶこの「選ばれた男」は、まさしくシェーンベルク自身を思わせるが、(中略)弟子のアルバン・ベルクは、(中略)この「選ばれた男」とシェーンベルクとの同一性を指摘していた。
 テクストではさらに「修道士」と「瀕死の男」が登場するが、後者のなかには、死によって霊界に入り、天使たちに近づくと同時に霊たち(の声)に迎えられるというスウェーデンボリの教説が見据えられている。ここで第1部は終わり、続く第2部は霊たちに〈変容〉を諭すガブリエルの説教に始まって、第1部と同じ順で霊たちが悪魔、天才、星、天使たちと語り、教えを請う。「選ばれた男」は神に自分の使命を問いかけるが、地上の重荷を背負って罪を贖うこの男に対し、神は「精神の前衛」としての賛辞を贈りながら鼓舞する。」


◆本CDについて◆ 

ブックレット(全36頁)にトラックリスト&クレジット、解説「《ヤコブのはしご》を読み解く」(三島憲一)、解説「シェーンベルク: オラトリオ《ヤコブのはしご》」(長木誠司)、演奏者紹介、対訳「ヤコブのはしご」(訳・小林一夫)。

★★★★☆