幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

『《スウェーデン》フォーク・フィドルの魅力』  ビョルン・ストービ&ウーレ・ユート

『《スウェーデン》フォーク・フィドルの魅力』 
ビョルン・ストービ&ウーレ・ユート(ヴァイオリン) 

Folk Fiddling from Sweden 
Traditional fiddle tunes from Dalarna 
Played by Björn Ståbi & Ole Hjorth 

Nonesuch Explorer 50+ 32 


CD: ワーナーミュンージック・ジャパン 
シリーズ: Nonesuch Explorer 50+
WPCS-16072 (2013年) 
定価¥945/税抜価格¥900 

 

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帯文: 

「数百年の時を超えて伝承される、北欧の美しいトラッド・フィドルの魅力を凝縮!」


帯裏文: 

スウェーデンの伝統的なライフ・スタイルが、今も息づく、森と湖に囲まれた美しいダーラナの町。このアルバムは数百年の時を超えて伝承されているダーラナ地方のフォーク・フィドル・ミュージックの魅力を、ふたりの名フィドル奏者の妙技で味わう素敵な1枚です。」


Tunes from throughout the province of Dalarna (after the tradition of various fiddlers) 
1.スクルブレッドレーケン 
Skullbraddleken, wedding-tune from Mockfjard  2:30 
2.オルサのヴァルス 
Vals (waltz) from Orsa  2:54 
3.エンヴィケンのポルスカ 
Polska (dance-tune) from Enviken  2:10 
4.システルポルスカ 
Systerpolska, dance-tune from Orsa  1:34 
5.ヌアクス・ゴングロート 
Noaks gånglåt, walking-tune from Orsa  3:00 
6.シェックピープスロート 
Säckpipslåt (bagpipe-tune) from Gagnef  0:45 
7.ユーティゲンス・ポルスカ 
Hjortingens polska, dance-tune from Bingsjo  2:10 
8.ヴァロート 
Vallåt (herding-tune) from Orsa  1:08 

Björn Ståbi, 1st violin 
Ole Hjorth, 2nd violin 


Tunes from Rattvik parish, Dalarna (after the tradition of Hjort Anders Olsson, Bingsjo) 
9.ト調のポルスカ 
Polska in G  1:37 
10.ロングダンス 
Långdans (long-dance) melody  1:56 
11.ポルスカ 
Polska  2:55 
12.ゴングロート 
Gånglåt (walking-tune)  1:12 
13.グロートローテン 
Gråtlåten (polska)  1:46 
14.ヴァロート 
Vallåt  1:10 
15.シェンクロート 
Skänklåt (wedding-tune)  1:49 

Ole Hjorth, 1st violin 
Björn Ståbi, 2nd violin  


ビョルン・ストービ〔ヴァイオリン〕 
ウーレ・ユート〔ヴァイオリン〕 

[録音] 1969年 

Produced by Peter K. Siegel 
Recorded at Elektra Sound Recorders, New York, by Robert Ludwig 

Cover art: Di Grazia 
Cover design: Paula Bisacca 

Tolal timing  30'32" 


◆本CD解説(江波戸昭)より◆

スウェーデンでは、すでに数世紀にわたって擦弦楽器が民衆の音楽をリードしてきた。ヴァイオリン(フィドル=フィオール)そのものが伝えられたのは17世紀だとされるが、そのはるか以前の12世紀ころからすでに、擦弦のハープやフィオール系の楽器が使われていたという。スウェーデンノルウェーフィドルの独自の演奏法は、これらの前身となった擦弦楽器の奏法に由来するものとみられているところである。
 今世紀の初頭までは、スウェーデン中、どこの町や村に行ってもスペルマンと呼ばれるフィドラー(ヴァイオリンひき)がいて、祭り、儀式、レクリエーションなど、あらゆる社会生活の場で独自のストームニン(雰囲気)をかもし出していた。ところがそのスペルマンも工業化・都市化といった社会変革、そしてマス・メディアの浸透につれて、その役割を失い、(中略)多くの地方で消滅してしまった。
 そうしたなかで、例外的な存在といえるのがダーラナ地方である。(中略)首都ストックホルムから北西方250キロほどにある森と湖、丘と谷に囲まれた美しいところで、(中略)もうスウェーデンの他地区ではほとんどみられなくなっているような古風な木造の家が並び、伝統的民俗衣裳がもてはやされ、方言が幅をきかせるとなれば、この地にフォーク・フィドルの輝かしい伝統が逞しく息づいているのも当然ということになろう。
 このレコードは、そのダーラナ地方に譜面によらずに伝承されたフィドルの曲の数々を収めたものである。(中略)古い伝統では、これらの曲は基本的にソロで演じられてきたが、ダーラナではしばしば、2人あるいはそれ以上のフォドラーが合奏をする。その場合、ユニゾンで弾くのはほとんどなく、設定された曲に対して、相手は即興的な対旋律によって、主旋律と対等の立場で競演する。
 さて、その演奏者ビョルン・ストービとウーレ・ユートについて紹介しておこう。(中略)ストービはストックホルムの生まれだが、彼の父はダーラナのオルサ出身のやはりフィドラーである。スウェーデン最後の偉大なスペルマンとして知られ、オルサに在住したイェッサ・アンデルス・アンデルソンについて、その伝統的技法を学んだ。(中略)一方のウーレ・ユートは有名な彫刻家の息子で、(中略)やはりダーラナのビングシェーで、ユート(アンデルス)オルソンに学んだ。名手オルソンは19世紀の伝説的なスペルマンとされるペッコス・ペルの後継者で、1952年に87歳で没している。この2人の録音は、1969年にニューポートのフォーク・フェスティヴァル出演のために渡米したときのものである。」


◆本CDについて◆ 

二つ折りブックレット内側にトラックリスト&クレジット、モノクロ写真図版(Ole Hjorth and Björn Ståbi)。ブックレット裏表紙にLP裏ジャケ縮小再現。投げ込みライナー(十字折り)にトラックリスト&クレジット、江波戸昭による解説(「この解説はオリジナル発売時のものを転載しております。」)。

#8はストービのソロ、#10、#14はユートのソロ。

フォークフィドルはクラシックヴァイオリンのように自己主張しないので心地よいです。西岡兄妹ふう(?)のフォークアート的ジャケ絵もたいへんよいです。

★★★★★ 


ヌアクス・ゴングロート


Björn Ståbi & Ole Hjort i 1970