幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

『マーラー:さすらう若人の歌・亡き子をしのぶ歌・リュッケルトの詩による歌曲』  フィッシャー=ディースカウ

マーラーさすらう若人の歌亡き子をしのぶ歌・リュッケルトの詩による歌曲』 
フィッシャー=ディースカウ 
Dietrich Fischer-Dieskau 
Mahler: Lieder eines fahrenden Gesellen 
Kindertotenlieder 
4 Rückert-Lieder 
Karl Böhm 
Rafael Kubelik 


CD: Deutsche Grammophon/Polydor K.K., Japan 
F35G 50132 [415 191-2] 
¥3,500 

 

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グスタフ・マーラー 
GUSTAV MAHLER (1860-1911) 


さすらう若人の歌 
Lieder eines fahrenden Gesellen 
マーラーの詩による歌曲 
Liederzyklus nach Texten von Gustav Mahler 
1.1.君がとつぐ日 3:54 
Wenn mein Schatz Hochzeit macht 
2.2.露しげき朝の野べに 3:59 
Ging heut moren übers Feld 
3.3.灼熱せる短刀もて 3:12 
Ich hab ein glühend Messer 
4.4.君が青きひとみ 5:08 
Die zwei blauen Augen 

バイエルン放送交響楽団 
Symphonie-Orchester des Bayerischen Rundfunks 
指揮:ラファエル・クーベリック 
Dirigent: Rafael Kubelik 


リュッケルトの詩による歌曲 
Lieder nach Gedichten von Friedrich Rückert 
5.1.真夜中に 6:21 
Um Mitternacht 
6.2.ほのかなかおりを私はかいだ 3:04 
Ich atmet' einen linden Duft 
7.3.私の歌をのぞかないで下さい 1:35 
Blicke mir nicht in die Lieder 
8.4.わたしはこの世に忘れられた 6:56 
Ich bin der Welt abhanden gekommen 


亡き子をしのぶ歌 
Kindertotenlieder 
リュッケルトの詩による歌曲 
Liederzyklus nach Gedichten von Friedrich Rückert 
9.1.いま太陽は明るく昇る 5:28 
Nun will die Sonn' so hell aufgehn 
10.2.いま私には分るのだ 4:44 
Nun seh ich wohl, warum so dunkle Flammen 
11.3.おまえのお母さんが 4:27 
Wenn dein Mütterlein 
12.4.よく私は考える 3:18 
Oft denk ich, sie sind nur ausgegangen 
13.5.こんなひどい嵐の日には 6:30 
In diesen Wetter, in diesem Braus 

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 
Berliner Philharmoniker 
指揮:カール・ベーム 
Dirigent: Karl Böhm 


ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウバリトン) 
Dietrich Fischer-Dieskau, Bariton 


プロデューサー:Dr. ヴィルフリート・デーニケ(さすらう若人の歌)、オットー・ゲルデス 
ディレクター:ヴォルフガング・ローゼ、ライナー・ブロック 
レコーディング・エンジニア:ハインツ・ヴィルトハーゲン(さすらう若人の歌)、ギュンター・ヘルマンス 
データ:1968年12月 ミュンヘン、ヘルクレス・ザール(さすらう若人の歌)、1963年4月 ベルリン、イエス・キリスト教会 
解説書表:水彩画「門」、ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ画 


◆本CDについて◆ 

ブックレット(全16頁)にトラックリスト&クレジット、コラム「演奏家の任務」(ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウ)、解説(渡辺護)、ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ紹介文(無記名)、歌詞対訳(渡辺護石井不二雄)、コラム「コンパクト・ディスク・デジタル・オーディオ・システム」、ブックレット裏表紙に写真図版(モノクロ)1点。
ディスクはドイツ製(Made in W. Germany by PolyGram)です。

亡き子をしのぶ歌」「リュッケルトの詩による歌曲」は1964年にLPで、「さすらう若人の歌」はクーベリック指揮の第5番の2枚組LP(1971年)のカップリング曲としてリリースされ、さらにその3つをまとめて収録したLPが1982年に、CDが1985年にフィッシャー=ディースカウの還暦を記念してリリースされました。

さすらう若人の歌」のマーラー自作(23歳)の詩は、すこぶる躁鬱気味で情緒不安定で、興趣も何もあったものではないですが、しかし人間関係の痛手が自然のただ中での孤独によって癒されることを望む、そうしたマーラーの心境を代弁しているのがリュッケルトの詩「わたしはこの世に忘れられた」で、マーラーはこの詩にたいへん穏やかで安らぎに満ちた音楽を付けています。

★★★★☆ 


『リュッケルトの詩による歌曲』より「私はこの世に忘れられた」(訳:石井不二雄


「Ich bin der Welt abhanden gekommen, 
私は世の中から姿を消した、
Mit der ich sonst viele Zeit verdorben. 
それまで沢山の時を無駄にすごしたものだった。
Sie hat so lange nichts von mir vernommen, 
もう長いこと世の人は私の噂を聞いていない、
Sie mag wohl glauben, ich sei gestorben. 
きっともう死んだものと思っていよう。

Es ist mir auch gar nichts daran gelegen, 
私は死んだと思われようと、
Ob sie mich für gestorben hält. 
何も気にかかることはない。
Ich kann auch gar nichts sagen dagegen, 
生きていると主張することも出来はしない、
Denn wirklich bin ich gestorben der Welt. 
事実私は世の中から死んだ存在なのだから。

Ich bin gestorben dem Weltgetümmel, 
騒々しい世の中から死んだ私は 
Und ruh' in einem stillen Gebiet. 
静かな場所で休んでいる。
Ich leb' allein in meinem Himmel, 
ただひとりで生きている、私の空に(※)、
In meinem Lieben, in meinem Lied. 
私の愛に、私の歌に。」

※引用者注:「私の天国に」。