幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

『プーランク:ピアノ・ソロ作品全集』  ポール・クロスリー

プーランク:ピアノ・ソロ作品全集』 
ポール・クロスリー 

Poulenc 
The Complete Music for Solo Piano 
Paul Crossley 


CD: Sony Classical / Sony Music Japan International Inc. 
SICC 1432~4 (2010年) [3枚組] 
特別価格¥2,940(税込)〔¥2,800(税抜)〕 

 


帯文:

「現代音楽の名手ポール・クロスリーによる歴史的な全曲盤。」


帯裏文:

ドビュッシーラヴェルなどフランス音楽の名解釈で知られるポール・クロスリーが、1987年に録音したプーランクのピアノ独奏曲全集を収めた名盤。プーランク独特の「心地よい奇想天外さ」「とらえどころのない性格」を見事に表出しており、1992年の初出時には日本盤としては初めての全曲盤として高く評価された。現代音楽にも強いクロスリーならではのシリアスながらクールで洒落た味わいがまさに絶品。」


フランシス・プーランク 
FRANCIS POULENC (1899-1963) 


DISC 1 (74:09) 

ナゼルの夜会 (1930~1936) (26:02) 
Les soirées de Nazelles 
1.前奏曲 3:34 
Préambule 
2.変奏Ⅰ (やんごとなさの極み) 1:17 
Variation I. Le comble de la distinction 
3.変奏Ⅱ (つつみかくさぬ心) 3:17 
Variation II. Le coeur sur la main 
4.変奏Ⅲ (無遠慮と遠慮深さ) 1:09 
Variation III. La desinvolture et la discretion 
5.変奏Ⅳ (一途(いちず)) 2:12 
Variation IV. La suite dans les idees 
6.変奏Ⅴ (心をとろかす魅惑) 2:47 
Variation V. Le charme enjoleur 
7.変奏Ⅵ (自己満足) 1:15 
Variation VI. Le contentement de soi 
8.変奏Ⅶ (不幸せの風味) 2:56 
Variation VII. Le gout du malheur 
9.変奏Ⅷ (年をとっても明るく元気) 1:16 
Variation VIII. L'alerte vieillesse 
10.カデンツァ 1:54 
Cadence 
11.終曲 4:25 
Final 

3つの小品 (1918~1928) (11:18) 
Trois pièces 
12.パストラール 3:31 
Pastorale 
13.讃歌 5:27 
Hymne 
14.トッカータ 2:14 
Toccata 

3つの常動曲 (1918) (5:56) 
Trois mouvements perpétuels 
15.(十分に中庸を得たはやさの) 1:24 
I. Assez modéré 
16.(きわめて中庸を得たはやさの) 1:33 
II. Tres modéré 
17.(敏捷な) 2:54 
III. Alerte 

18.メランコリー (1940) 6:34 
Mélancolie 

ナポリ (1922~1925) (11:25) 
Napoli 
19.舟歌 1:48 
Barcarolle 
20.ノクターン 3:28 
Nocturne 
21.イタリア奇想曲 6:01 
Caprice italien 

アルバムの綴り (1933) (4:13) 
Feuillets d'Album 
22.アリエッタ 1:19 
Ariette 
23.夢 1:46 
Rêve 
24.ジーグ 1:01 
Gigue 

25.田園曲 (1927) 2:33 
Pastourelle 

26.オーヴェルニュの夜会のためのブレー (1937) 1:34 
Bourée au pavillon d'Auvergne 

27.ハ調のワルツ (1919) 2:10 
Valse en Ut 

28.アルベール・ルーセルの名による小品 (1929) 2:04 
Pièce brève sur le nom d'Albert Roussel 


DISC 2 (73:48) 

即興曲集 (1932~1959) (30:52) 
15 Improvisations 
1.第1番 ロ短調 (1932) 1:36 
No. 1 in B Minor 
2.第2番 変イ長調 (1932) 2:03 
No. 2 in A-flat Major 
3.第3番 ロ短調 (1932) 1:32 
No. 3 in B Minor 
4.第4番 変イ長調 (1932) 1:40 
No. 4 in A-flat Major 
5.第5番 イ短調 (1932) 2:01 
No. 5 in A Minor 
6.第6番 変ロ長調 (1932) 1:37 
No. 6 in B-flat Major 
7.第7番 ハ長調 (1933) 2:54 
No. 7 in C Major 
8.第8番 イ短調 (1934) 1:33 
No. 8 in A Minor 
9.第9番 ニ長調 (1934) 1:15 
No. 9 in D Major 
10.第10番 ヘ長調 (1934) (音階賛美) 1:50 
No. 10 in F Major (Eloge des Gammes) 
11.第11番 ト短調 (1941) 1:03 
No. 11 in G Minor 
12.第12番 変ホ長調 (1941) (シューベルトを讃えて) 2:21 
No. 12 in E-flat Major (Hommage à Schubert) 
13.第13番 イ短調 (1958) 3:29 
No. 13 in A Minor 
14.第14番 変ニ長調 (1958) 1:56 
No. 14 in D-flat Major 
15.第15番 ハ短調 (1959) (エディット・ピアフを讃えて) 4:02 
No. 15 in C Minor (Hommage à Edith Piaf) 

主題と変奏 (1951) (13:58) 
Thème varié 
16.主題 1:42 
Thème 
17.変奏Ⅰ よろこばしげな 0:17 
Variation I. Joyeuse 
18.変奏Ⅱ 高貴な 1:02 
Variation II. Noble 
19.変奏Ⅲ 牧歌的な 1:49 
Variation III. Pastorale 
20.変奏Ⅳ 嘲笑的な 0:32 
Variation IV. Sarcastique 
21.変奏Ⅴ 憂愁をたたえた 1:29 
Variation V. Mélancolique 
22.変奏Ⅵ 皮肉な 0:34 
Variation VI. Ironique 
23.変奏Ⅶ 哀調をおびた 2:09 
Variation VII. Elégiaque 
24.変奏Ⅷ おしゃべりな 0:32 
Variation VIII. Volubile 
25.変奏Ⅸ 気まぐれな 0:28 
Variation IX. Fantasque 
26.変奏Ⅹ なぞめいた 0:43 
Variation X. Sybilline 
27.変奏Ⅺ 終曲 2:41 
Variation XI. Finale 

3つの間奏曲 (12:11) 
Trois Intermezzi 
28.第1番 ハ長調 (1934) 1:53 
No. 1 in C Major 
29.第2番 変ニ長調 (1934) 4:24 
No. 2 in D-flat Major 
30.第3番 変イ長調 (1943) 5:46 
No. 3 in A-flat Major 

5つの即興曲 (1920~1921) 
Cinq Impromptus 
31.第1番 (きわめて動きのはげしい) 1:02 
No. 1. Très agité 
32.第2番 (アレグロ・ヴィヴァーチェ) 1:07 
No. 2. Allegro vivace 
33.第3番 (きわめて中庸を得たはやさの) 2:04 
No. 3. Très modéré 
34.第4番 (あらあらしい) 1:18 
No. 4. Violent 
35.第5番 (アンダンテ) 2:41 
No. 5. Andante 

36.プレスト 変ロ長調 (1934) 1:46 
Presto in B-flat Major 

37.バディナージュ (1934) 1:59 
Badinage 

38.ユモレスク (1934) 1:59 
Humoresque 

39.バッハの名による即興的ワルツ (1932) 1:33 
Valse-improvisation sur le nom de Bach 


DISC 3 (73:33) 

8つの夜想曲 (1929~1938) (21:35) 
Huit Nocturnes 
1.第1番 ハ長調 (1929) 3:57 
No. 1 in C Major 
2.第2番 イ長調 (1933) (若い娘たちの舞踏会) 1:26 
No. 2 in A Major (Bal des jeunes filles) 
3.第3番 ヘ長調 (1934) (マリーヌの鐘) 3:42 
No. 3 in F Major (Les Cloches de Malines) 
4.第4番 ハ短調 (1934) (幻の舞踏会) 1:46 
No. 4 in C Minor (Bal fantome) 
5.第5番 二短調 (1934) (尺蛾) 1:25 
No. 5 in D Minor (Phalènes) 
6.第6番 ト長調 (1934) 4:36 
No. 6 in G Major 
7.第7番 変ホ長調 (1935) 2:10 
No. 7 in E-flat Major 
8.第8番 ト長調 (1938) (連作の結びの役割をつとめるための) 2:33 
No. 8 in G Major (Pour servir de coda au cycle) 

フランス組曲 (1935) (13:17) 
Suite française 
9.Ⅰ. ブルゴーニュのブランル舞曲 1:22 
I. Bransle de Bourgogne 
10.Ⅱ. パヴァーヌ 2:57 
II. Pavane 
11.Ⅲ. 小軍隊行進曲 0:55 
III. Petite marche militaire 
12.Ⅳ. 嘆きのうた(コンプラント) 2:05 
IV. Complainte 
13.Ⅴ. シャンパーニュのブランル舞曲 2:35 
V. Bransle de Champagne 
14.Ⅵ. シシリエンヌ 1:50 
VI. Sicilienne 
15.Ⅶ. カリヨン(鐘楽) 1:33 
VII. Carillon 

3つのノヴェレッテ (8:08) 
Trois Novelettes 
16.第1番 ハ長調 (1927) 3:11 
Novelette No. 1 in C Major 
17.第2番 変ロ短調 (1928) 1:59 
Novelette No. 2 in B-flat Minor 
18.第3番 ホ短調 (1959) (マヌエル・デ・ファリャの主題による) 2:51 
Novelette No. 3 in E Minor sur un thème de Manuel de Falla 

ハ調の組曲 (1920) (4:48) 
Suite en Ut 
19.Ⅰ. プレスト 2:16 
I. Presto 
20.Ⅱ. アンダンテ 2:24 
II. Andante 
21.Ⅲ. ヴィフ 1:42 
III. Vif 

村人たち (1933) (4:56) 
Villageoises 
22.第1曲 チロル風の円舞曲 0:50 
No. 1 Valse tyrolienne 
23.第2曲 スタッカート 0:48 
No. 2 Staccato 
24.第3曲 野趣ゆたかな 0:50 
No. 3 Rustique 
25.第4曲 ポルカ 0:34 
No. 4 Polka 
26.第5曲 小さなロンド 0:50 
No. 5 Petite ronde 
27.第6曲 コーダ 1:04 
No. 6 Coda 

28.フランセーズ (1939) 1:59 
Française 

プロムナード (1921) (16:25) 
Promenades 
29.第1曲 (徒歩で) 2:09 
No. 1 A pied 
30.第2曲 (自動車で) 1:01 
No. 2 En auto 
31.第3曲 (馬にまたがって) 1:08 
No. 3 A cheval 
32.第4曲 (小舟で) 1:19 
No. 4 En bateau 
33.第5曲 (飛行機で) 2:38 
No. 5 En avion 
34.第6曲 (乗合自動車(バス)で) 1:28 
No. 6En autobus 
35.第7曲 (乗用車で) 2:13 
No. 7 En voiture 
36.第8曲 (鉄道で) 0:50 
No. 8 En chemin de fer 
37.第9曲 (自転車で) 1:24 
No. 9 A bicyclette 
38.第10曲 (大急ぎで) 2:15 
No. 10 En diligence 


ポール・クロスリー (ピアノ) 
Paul Crossley, piano 

[録音] 1987年、スネイプ、モールティングス 
Recording: 1987, Snape Maltings, England 
Producer: David Mottley 


◆「演奏者自身によるプログラム・ノート」より◆

「作曲者独自の人間性や感性を表現するのに、プーランクほど見事に、無数の引用やパスティーシュ、オブジェ的な要素、それにあらゆる時代の音楽様式といったものを駆使した作曲家はおそらくいないだろう。彼のこうした側面は彼とわれわれとの距離を近づけ、彼をとてもモダンな(ポストモダンと言うべきかもしれない)存在にしている。」
「おそらく、彼に最も根源的な影響を与えたのは、1917年に初めて会ったエリック・サティだった。その後だいぶたってからプーランクは次のように回想している。「(サティは)私の本当の性格を見事に見抜いてくれた。今でも私は、サティはこの作品のことをどう思うだろうか、と自問してみることがよくある」。プーランクが、当時氾濫していた‟現代風の”複雑さとは対極的な自分の‟単純な語り口”に対して自信を持つことができたのはサティのおかげだった。音楽にクラシックもポピュラーもない、と言ってプーランクを勇気づけたのもサティで、彼は、ミュージックホールに出入りするプーランクに拍手喝采をおくった。」
「1934年の《バディナージュ》にはレイモン・ラディゲの言葉が引かれている。「グラスの中でオレンジエードがぬるくなっていく。たとえば6月のある晩など」。‟オレンジエード”という言葉は、パーティーやお祭り、カーニヴァルを連想させる。だが、祭りは終わっているのだ。表面的な陽気さや魅力にもかかわらず、ほろ苦いものがほとんどすべての曲に行きわたっている。(中略)1930年代半ば以降、彼のピアノ曲は数えるほどしかないが、いずれもが深いメランコリーに覆われている。(中略)最もすばらしい作品のいくつかを生み出したのもそのメランコリーにほかならない。」


◆本CDについて◆ 

3枚組用ジュエルケース(24mm厚)。ブックレット(全12頁)にトラックリスト&クレジット、ポール・クロスリー「演奏者自身によるプログラム・ノート」(「1992年発売のCD初出時のライナーノーツを掲載しています。」)、演奏者紹介「ポール・クロスリー」(「ソニー・クラシカルの資料による」)、ブックレット裏表紙にモノクロ写真図版(クロスリー)1点。

★★★★★ 


8つの夜想曲 第3番 ヘ長調 (マリーヌの鐘)