『Weill: The Seven Deasly Sins / Symphony No.2』
Teresa Stratas / Kent Nagano
CD: Erato Disques S.A. Paris, France
0630-17068-2 (1997)
Kurt Weill (1900-1950)
Die Sieben Todsünden 38:32
The Seven Deadly Sins
Les sept péchés capitaux
Ballet mit gesang/Ballet with song/Ballet chanté
1. Prolog/Prologue 4:49
Anna I & II
2. Faulheit/Sloth/Paresse 3:45
Die Familie
3. Stolz/Pride/Orgueil 5:17
Anna I, Die Familie
4. Zorn/Anger/Colère 4:01
Anna I & II, Die Familie
5. Völlerei/Gluttony/Gourmandise 3:47
Die Familie
6. Unzucht/Lust/Luxure 6:44
Anna I & II, Die Familie
7. Habsucht/Avarice 3:05
Die Familie
8. Neid/Envy/Envie 4:38
Anna I, Die Familie
9. Epilog/Epilogue 2:14
Anna I & II
Anna I: Teresa Stratas (soprano)
Anna II: Nora Kimball
Die Familie/The Family/La Famille:
Der Vater/The Father/Le Père: Herbert Perry (baritone)
Die Mutter/The Mother/La Mère: Peter Rose (bass)
Erster Sohn/First Son/Premier Fils: Frank Kelley (tenor)
Zweiter Sohn/Second Son/Deuxième Fils: Howard Haskin (tenor)
Symphony No.2 25:38
(Editions Heugel / Schott)
10. I. Sostenuto - Allegro molto 9:32
11. II. Largo 10:01
12. III. Allegro vivace - Alla marcia 6:16
Orchestre de L'Opéra National de Lyon
Kent Nagano
Total: 64:30
Digital Recording
Producer: Martin Sauer (1-9), Jean-Pierre Loisil (10-12)
Sound engineer: Michel Lepage (Radio France) (1-9), Jean Chatauret (10-12)
Assistants: Jean-Michel Bernot & Patrick Henry (Radio France) (1-9), Didier Jean (10-12)
Radio France Recording (1-9)
Editor: Martin Sauer (1-9), Alexia Benoit (10-12)
Recording: 01/1993 (1-9) - 08/1996 (10-12), Opéra National de Lyon
Coproduction Opéra National de Lyon - Direction Jean-Pierre Brossmann
1-9: Live recording at video sessions for the film by Peter Sellars
Art direction, Design & Illustration: Bettina Huchtemann, Hamburg
◆本CDについて◆
ブックレット(全16頁)にトラックリスト&クレジット、Pascal Huynhによる解説と「七つの大罪」あらすじ(仏語原文/英・独訳)、写真図版(モノクロ)2点。歌詞は掲載されていません。
クルト・ワイルの歌入りバレエ「七つの大罪」と交響曲第二番のカップリング。ケント・ナガノ指揮リヨン国立歌劇場管弦楽団。「七つの大罪」の「アンナI」にテレサ・ストラタス(ソプラノ)。
「七つの大罪」は1933年6月にパリで、交響曲第二番は1934年10月にアムステルダムで(ブルーノ・ワルター指揮)、それぞれ初演されています。
「七つの大罪」の「アンナⅠ」と「アンナⅡ」は同じ人物の二つの側面――個人としての本来の自己(アンナⅡ)と、内面化された社会道徳=超自我(アンナⅠ)――の現われであり、映像なしのレコーディングでは一人二役で歌われますが、本CDではピーター・セラーズによるヴィデオ作品のための録音なので、アンナⅡを別の歌手が担当しています(しかし歌うのはほとんどアンナⅠで、アンナⅡは相槌を打つだけです)。
「七つの大罪」というのは本来はキリスト教(カトリック)の概念ですが、ここでは社会的な立身出世の妨げになるような行為が「罪」として非難されています。たとえば人を騙したり利用したりしてでもお金を儲けようとしないのは「怠惰」、芸を安売りせずに道を究めようとすると「傲慢」、権力者に虐待されている弱者を見て義憤をおぼえるのは「憤怒」、人からよく見られるように食事制限してスタイルを維持したりないで、食べたい時に食べたい分量を食べるのは「暴食」、お金持ちに色目を使わずに貧乏でも愛情を感じる相手と仲良くすると「色欲」。そのようにして悪しき社会の形骸化した道徳によってスポイルされ廃人のようになったアンナⅡが、本来の自己のままに自然にふるまっている人々を見てうらやましいと思うと「嫉妬」、といったように、ブレヒトは、社会が押し付ける「善」を「悪」=社会による個人の抑圧としてとらえ、社会から「悪」とみなされる行為のうちに抑圧への抵抗を見て取っています。
ところで、アンナⅠを演じるストラタスはオペラ歌手なのでオペラっぽい歌唱をしていますが、前述のように「アンナⅠ」は「あなたのため」と称して「アンナⅡ」を抑圧し搾取する(アンナⅡが稼いだお金は実家の繁栄のために使われます)、いわば偽善者的な存在なので、この曲ではむしろ、ロッテ・レーニャやマリアンヌ・フェイスフルのように個性を尊重するナチュラルな歌い方よりも、オペラっぽい技巧的な(わざとらしい)歌い方のほうがふさわしいかもしれないです。
★★★★★
Seven Deadly Sins - Peter Sellars
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